旅と出会い 2001年3月12日

山形県建築設計事務所季刊「たより」への寄稿  藤原 薫

私は旅行が好きです。特に全てを忘れさせ気持ちを楽にできる海外への旅行は好きです。色々な肌、色々な髪、色々な言語を持つ人々の中にいると、日本人だけの均一空間にいるのとは違う精神的な開放感があるからです。ここ数年、公的なものと私的なものも含めて海外旅行をするチャンスがありました。私は構造設計者ですが、研究的なこともしますので、海外で開催される国際会議に参加します。3年前はパリで開かれたヨーロッパ地盤工学会議、2年前はポルトガルで開催された国際地盤工学会議です。東北大学の杉村先生、秋田県立大学のカルキー教授と共著の論文を書き続けていますが、これは偶然が重なって始まりました。杉村先生は日本を代表する地盤系の研究者です。カルキー教授は私と同じ年でネパール出身ですが、アジアを代表する地盤系の研究者です。私の大切な友人です。旅慣れた彼らのおかげで楽しい時間を過ごし、色々な国の方々とも会えました。自分たちで全てを段取りする旅ですので、本当に旅をしたという実感を持つことができます。私にとっては毎日ハラハラドキドキの連続でしたが、とても印象に残る旅となりました。

私的なものでは昨年のハワイ3島と高地マラソンで有名なアメリカ、コロラド州ボルダー市への旅行です。ハワイは20年前に新婚旅行で行った思い出深い所です。5年前にも家族で行きましたが、新婚旅行の時にはできなかった思い切った贅沢をすることにしています。飛行機はビジネスクラス、ホテルはスイートルーム、一流レストランを予約して、皆そろってお洒落をして車で乗りつける。普段の自分とはまるで違います。たまには分不相応な贅沢をするのもいいものです。一番楽しいのは人との出会い、ちょっとした会話です。それと家族の私に対する信頼が強くなることです。なぜなら、旅先では私は完全なホスト役になりきって、できうる限りのサービスを家族にすることにしているからです。

ボルダー市への旅は地元にあるボルダ-バレーロータリークラブと姉妹クラブ締結をするために、派遣団の一人として行きました。旅ではシアトルでの乗り継ぎで飛行機に乗り遅れそうになったり、いろいろなハプニングがありました。はじめてホームステイを経験しました。ホストは一人暮らしの退役軍人です。毎日彼が食事を作ってくれました。彼と一緒に夜空を見ながら長い時間話をする時もありました。ボルダー市を離れる時彼は最敬礼で見送ってくれましたが、とても心が動かされました。脈絡もなく書きましたが、何と言っても人との出会いが人生の中で一番すばらしい。

カルキ-博士とパリにて(1998年9月)

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