コンクリート+鉄+木材の構造体と内部空間 2013年3月20日

斎藤英二

県内でも有数の豪雪地域として知られる最上郡戸沢村。その戸沢村で小中学校の統廃合にあたって、中学校の改築が行われました。新しい中学校には、生活・学習の場として豊かで快適な空間であることはもとより、2mにもなる冬季間の積雪荷重に耐え、災害時には村の防災拠点施設となることが求められました。そのような建物の構造には、耐震性に優れた鉄筋コンクリート造を主構造とし、高い耐軸荷重性を有する木造や鉄骨造を組み込んだ混構造の建物を提案しています。

2013年1月までに中学校校舎と管理共用棟の2棟が竣工しています。将来的には小学校校舎も増築され、小中一貫校となる予定です。現在は屋内運動場の改築工事も進んでいます。

・管理共用棟
管理共用棟は建物全体の中心であり顔となる建物です。建物正面にはエントランスへと生徒や地域住民を招き入れる門型プロポーションの『学びの門』と連続的な屋根を設けたアプローチ通路が設けられています。

学びの門 アプローチ通路外観 アプローチ通路内観

アプローチ通路の屋根は全長36.2mであり、支持スパンが平面的に1.7m~6.65mに変化する台形状となっています。屋根は鉄筋コンクリート造であり、スラブは厚さ300mmの中空ボイドスラブとしています。先端に鉄筋コンクリート造の逆梁を設け、3.65m程度ピッチに配置された鉄骨鋼管柱(165.2φ)によって支持しています。スラブスパンの大きい部分はプレストレスを導入したアンボンドボイドスラブとし、クリープ変形とひび割れの抑制を行っています。軒天は化粧コンクリート打放し仕上げとし、照明器具を埋込み、すっきりとした納まりとなっています。

ボイドスラブ部分配筋 コンクリート打設状況 型枠解体直後

管理共用棟の構造計画としては、桁行方向、張間方向共に耐震壁付きラーメン構造としています。学びの門部分の壁も利用しつつ両方向にバランスよく耐震壁を配置し十分な耐震性を確保しています。

管理共用棟の南側には200席以上が確保できるランチルームが設けられています。2層吹抜けであり、スパンが15m程度と比較的大きな空間となっています。ここではスパン中間に鉄骨鋼管柱を設け、鉛直荷重を負担させることにより、合理的に15mスパンの空間を構成しています。内部の鋼管柱はLVL+突板によって被覆し、質感も含めて500φ程の木丸柱として表現しています。

ランチルーム内観① 鋼管柱(LVL+突板巻)
ランチルーム内観② ランチルーム外観

・中学校校舎
中学校校舎棟は豪雪地域における冬季間の生徒の生活環境に配慮し、主要動線と全ての教室を2階に設けていることが特徴です。建物の構造計画は桁行方向を純ラーメン構造、張間方向を耐震壁付きラーメン構造とした一般的な鉄筋コンクリート造の建物となっています。しかし、R階にはコンクリートスラブは設けられておらず、屋根は大断面集成材を用いた木質構造骨組で構成しています。また、スパンの大きい部分には鉛直荷重を負担するために鉄骨鋼管柱を設けています。内部のコンクリート柱梁、耐震壁は化粧打放し仕上げとしおり、様々な材質の構造体があらわれたユニークな空間となっています。

オープンスペース 2階廊下 木造屋根組(施工時)

木造部材と鉄筋コンクリート造部材の接合は鉄筋をエポキシ樹脂で固定する接合工法を用い、納まりを単純化しています。屋根部分の地震力は面張りした木造屋根面によりRC耐震部材まで伝達する計画としています。屋根面には小梁(B×D=150×350)を910mmピッチに配置し、構造用合板t=24mmを四周釘打ちとすることで、十分な水平剛性を確保しています。

 

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